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コラム

(第2回)ウルトラマラソン、ロングトレイルにも 耐える胃腸の作り方からケア、補給方法とは?

2017年07月27日 アスリートのための予防&ケア

夏本番!
アスリートやランナーにとって厳しい季節。

オフシーズンで、メンテナンスや休養の時期として捉えられる方もいれば、トレイルレースやウルトラマラソンに向けての走り込みや、秋の本番に向けて、しっかりトレーニングをされる方もいたりと、様々だと思います。

そこで、今回は距離の長いウルトラマラソンやトレイルレースでの補給法や疲労の回復について、少しお話ししたいと思います。

補給はジェルだけで大丈夫?それとも固形物?

≪レース中、胃腸は貧血状態≫

ご存じの方も多いかとは思いますが、ウルトラマラソンや50㎞以上のトレイルレースでは、長時間、振動で胃腸が揺さぶられ続けています。
しかも、体内の血液は腰から足にかけての大きな筋肉に集中してしまい、胃腸周辺は貧血状態になっています。
ただでさえ揺さぶられ続け、疲労困憊なのに血液が足らなくなるなんて、胃腸がどんなに苦しい状況かは想像がつきますよね。もちろん、レースやトレーニング時間が長くなればなる程、こうした内臓の疲労も強くなります。

≪かなり疲れています≫

胃腸はレース中盤や後半には、ほとんど機能していない場合もあります。

このような状況下で、こまめに栄養補給したとしても上手く吸収されないことが多いです。

かなり疲れています。最悪、胃痛や嘔吐にまで発展してしまう事も…。

≪ジェルだけはオススメできない≫

レース中の消費カロリーを計算し、それに合わせて大量ジェルだけで参加するというのは、避けた方が良いです。
なぜなら、ジェルは摂取後、すぐ吸収しパワーになりやすい反面、補給をジェルや水分だけに頼っていると、吸収後、大量の胃酸が胃に残留しやすい傾向にあるからです。
これを続けていると、胃内に残った自分の胃酸で胃壁を傷め、「胃焼け」と表現される状態になってしまいます。喉だけが渇き、ジェルも固形物も受け付けなくなり、最終的には、エネルギー摂取不良を起こし、ハンガーノック状態になってしまう可能性もあります。
私も過去に経験があります。

また、夏場は、汗の発汗量も増え、体液の濃度も濃くなり、さらに血液循環が悪くなり、内臓トラブルが増す傾向にあります。
水分補給も重要になってきます。

そこで、私の場合、長時間動き続ける際、後半の胃腸トラブルを避けるため、前半はジェルと固形物を交互に摂取し胃腸の負担を軽減させるようにしています。

ロングトレイルレースの場合、摂取の目安は30分~40分間隔で考える事が多いですが、これはその日の状況やコンディション、コースにより変更しています。
また、私の場合、フルマラソンでは、ジェルだけで済ませる事が多いですが、これにも個人差があります。
レース時間が長ければ長いほど、ジェルだけでは胃腸トラブルが出やすい傾向にありますから、エイドなどで固形物類を摂取し、胃の壁を傷め付けないようにする工夫も必要になってくるでしょう。

そして、固形物系の補給食は、
噛めるものが良い。

【噛んで唾液を出すことが大事】

噛む→唾液出る→胃液を誘発→消化吸収

この流れが大事。

バー類やパン、スナック類でも良いですし、エイドで固形物系の補給食があれば、しっかり入れておくとレース後半が安心です。

レース前半や短いレースの場合、それ程、胃腸の疲労も顕著ではないため、ジェルや固形物(バー・パン類)の摂取は好みのもので補給していても良いかと思います。

レース前に色んなサプリや補給食を試して、どの補給方法が一番自分にベストかをチェックしてみるのも大事ですね。その上で、ジェルだけに頼るのではなく、固形物との組み合わせという方法も頭の片隅にでも入れておいて頂ければ、きっとお役に立てるかと思います。

疲労は1週間では抜けない!

≪疲労対策はゴール直後から始まっている≫

ゴール後、できれば30分以内に良質な≪たんぱく質≫や≪糖質≫をしっかり補給すれば、弱った胃腸や筋肉へのリカバリーが期待できます。

特に疲労した『筋肉』には運動後

【30分以内】 がゴールデンタイム

この時間帯は、成長ホルモン(回復系のホルモン)が、たっぷり出ている時間帯です。
これに合わせて、きちんと回復系の≪たんぱく質≫を摂取する事が肝心になってきます。

また、胃腸の素早い回復には≪糖質≫の補強も効果的です。

比率は…。
【たんぱく質:糖質=1:3】

私の場合、ゴール後、正直、ゆっくり休みたい気持ちが強いのですが、最近では、とにかく、ケアを重点的に考えていますので、≪たんぱく質≫や≪糖質≫を中心としたサプリや食事をすぐに摂取することを心掛けています。

サプリだけに頼るのではなくても身近な

・サンドイッチ(ツナ類)
・おにぎり(魚介系)
・ヨーグルト+バナナ
・牛乳+豆乳+フルーツ等

で大丈夫です。私は、いつもバナナ2本は食べます。
がっつり肉食という方もいらっしゃいますが、あれはちょっと駄目。
肉は吸収に時間がかかり過ぎます。

レース前だけでなく、ゴール後のケアもしっかり考えてみると疲労の抜けに変化が出ます。
これは年齢にも関係するのですが、私の場合、35歳を過ぎた辺りから特に意識するようになりました。

私は、今でも起床時心拍数の研究をしていますが、フルマラソンを始めとしたレースでは、レース後、5日間、起床時心拍数は高めです。つまりは、疲労が抜けてない状態です。
レースにもよりますが、起床時心拍数が安定してくるのは、7日後~2週間後。
この時期のケアが肝心となってきます。

内臓疲労の回復には肉体疲労の倍かかる

通常、運動後の筋肉痛が5日で回復する場合、内臓疲労の回復までには10日はかかります。

また、内臓疲労の回復期間は、身体の免疫も低下している時期なので、胃腸障害や風邪等を患う危険性もあります。

だから、この時期のケアは、とても重要。

トレーニングやレース後からケアは始まっていると言っても過言ではないのです。

特にこれから暑い時期、運動後、冷たい飲み物やアルコールを飲みたくなるものです。
でも、こうした事を少しでも頭の片隅にでも入れておいて頂ければ嬉しいです。
そして、身体を労わりながら、トレーニングやレースに励んでいただければと思います。

次回は、「故障中の選手に対する精神的なフォローや治療院の選択」についてお話ししたいと思います。

筆者プロフィール

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吉田 浩章(よしだ ひろあき)|トレイルランナー・よしだ整骨院院長

高校・大学と山岳部に所属し、インターハイ、国体選手として活躍し、国内外の雪山を始め様々なバリエーションルートを登り活躍。社会人以降は、国内の山を活動場所とし、2005年には日本百名山、関西百名山、近畿百名山(当時27歳)で全山完登。ここ数年は、山を走る楽しさを覚え、全国のトレイルランレースやマラソン大会にも参加している。現在、和歌山県岩出市にて整骨院を経営し、アスリートやランナーへのコンディションニング及び治療に専念している。又、得意とするスポーツテーピングの講師としても活躍。

吉田浩章先生Facebook https://www.facebook.com/h.yoshida.sbb

よしだ整骨院Facebook https://www.facebook.com/yoshida.seikotsuin